
今回は、マセラティ ギブリSの「走行中にエンジンルームからうなり音がする」という症状でご入庫いただきました。
お客様のお話では、走行中に速度に合わせて「ウーン」という異音が聞こえるようになり、以前よりもハンドル操作に違和感を感じることがあるとのことでした。
まずはロードテストを行い、実際に症状を確認します。試運転ではエンジン回転に合わせてパワーステアリングポンプ付近から異音が発生していることを確認しました。




続いてエンジンルームを点検すると、パワーステアリングオイル(PSF)の量が規定値より減少していました。パワーステアリングはオイルの油圧を利用してハンドル操作をアシストしているため、オイル量が不足すると異音や操舵力の低下につながります。
原因を特定するため車両をリフトアップし、アンダーカバーを取り外してパワーステアリングの配管やステアリングラック周辺を詳しく点検していきます。
点検の結果、ステアリングラック本体のリターン側オイルラインからパワーステアリングオイルが漏れていることを確認しました。
今回の漏れはリターン側(負圧側)のラインで発生していたため、オイルが漏れるだけではなく、配管の穴から空気を吸い込んでしまう状態となっていました。このような状態では、オイル内に常にエアが混入し、パワーステアリングポンプへ気泡が送り込まれてしまいます。





そのため、単純にパワーステアリングオイルを補充しただけでは異音は改善されません。エアを吸い込んだ状態で使用が続くと、ポンプ内部の羽根や摺動部が摩耗し、最終的にはポンプ本体の故障へ発展してしまいます。
今回のお車も点検の結果、パワーステアリングポンプ内部に摩耗が確認できたため、ステアリングラックとパワーステアリングポンプの両方を交換することになりました。
新品部品はどちらも高額となるため、お客様とご相談のうえ、品質とコストのバランスを考慮し、ステアリングラックはリビルト品、パワーステアリングポンプは状態の良い中古品を使用して修理を実施しました。
交換後はパワーステアリングオイルを規定量まで補充し、エア抜き作業を丁寧に実施。その後ロードテストを行い、異音が完全に解消していること、オイル漏れがないこと、ハンドル操作が正常に戻っていることを確認し、修理完了となりました。




パワーステアリングのうなり音は、「オイルが少ないだけ」と思われがちですが、実際にはオイル漏れやポンプの摩耗が進行しているケースも少なくありません。異音を放置すると修理範囲が広がり、高額修理につながることもあります。
「ハンドルを切ると音がする」「オイルが減っている」「ステアリングが重く感じる」といった症状がございましたら、お早めの点検・修理をおすすめいたします。
























